えるぼし認定のポイント
女性活躍の取組みが進んでいる企業に与えられる 「えるぼし」の認定を受けることで、様々なメリットがあります。
○自社のホームページや商品、従業員の名刺にえるぼしマークをつけることで、性別に関係なく、多様な人材が活躍できる企業であるとアピールでき、企業イメージの向上や優秀な人材の確保に繋げられる。
○建設業者が公共工事を受注する際に必要となる経営事項審査など、公共調達(国や地方公共団体が行う入札契約)で加点評価を受け、官公庁が発注する仕事を落札しやすくなる。
○日本政策金融公庫の働き方改革推進支援資金(融資限度額7億2千万円)を、通常よりも低金利で利用することができる。
○法人税の賃上げ促進税制の控除率 +5%が適用され、節税に繋がる。
※上記については、くるみん認定企業も同様の優遇措置を受けられます。
えるぼし認定を受けるためにはどうすればいいのか…えるぼし認定の審査を実際に労働局で行っていた私の経験から、重要なポイントを簡単にまとめます。
えるぼし認定申請の流れ
- 女性活躍推進法における一般事業主行動計画策定・変更届を、本社所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に届け出る。
- 女性の活躍推進企業データベースや自社のホームページに自社の女性の活躍に関する状況を公表する。
- えるぼし認定申請を、上記の都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に行う。
えるぼし認定の審査は行動計画で定めた期間ではなく、企業の事業年度をベースに行うので、➁まで実施していれば行動計画の期間が経過していなくても申請はできます(行動計画策定・変更届を提出した直後でも申請は可能)。
申請を行える段階になりましたら、次にえるぼし認定基準を満たしているかを確認します。
.採用の競争倍率の男女差(または正社員の女性比率)
.男女の平均継続勤務年数の差異
.労働者の各月ごとの平均残業時間数
.管理職に占める女性労働者の割合
.女性労働者のキャリアアップ
※えるぼし認定基準の詳細(厚生労働省公式サイトより)
この5つの認定基準を全てクリアすれば、三つ星のえるぼしを取得できます。
二つ星えるぼしは、3~4つの認定基準をクリアしていることに加え、クリアしていない項目を2年以上連続して改善していることで取得できます。
一つ星えるぼしは、1~2つの認定基準をクリアしていることに加え、クリアしていない項目を2年以上連続して改善していることで取得できます。
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5つの認定基準のうち、「.採用の競争倍率の男女差(または正社員の女性比率)」、「.男女の平均継続勤務年数の差異」、「.労働者の各月ごとの平均残業時間数」については、雇用管理区分ごとに基準を満たすことが求められます。
雇用管理区分とは
雇用管理区分とは、職種(事務、営業、技術系etc.)、雇用形態(正社員、契約社員、パートタイマーetc.)等によって分けられる労働者の区分のことです。
これらは企業の従業員規模や組織形態によって異なるため、雇用管理区分の枠の決め方については、一定のルールの下で、申請する企業に委ねられています。
・雇用形態が大きく異なるもの
※正社員とパートタイマー、無期雇用社員と有期雇用社員など
・全体の労働者の1割程度に満たない労働者の区分があり、それぞれの職務内容等が類似している場合
※賃金待遇やキャリアの見通しなどに大きな違いがないものに限る
職務内容等の類似性の判断については、審査の段階で就業規則や雇用契約書等の書類提出を求められることもあるので、事前に規定を明文化しておく方が望ましいです。
雇用管理区分の設定は、えるぼし認定申請において重要な要素となるので、慎重に行うことが大切です。
“管理職”の定義
「.管理職に占める女性労働者の割合」における管理職とは、以下の要件を満たす管理職のことを指します(労働基準法上の管理監督者とは異なります)。
・「課長級以上」の役職者であること。
・「課長級」とは、
①…課長と呼ばれている者で、2つ以上の係から成る部署の長、または、課長本人を含めて10人以上在籍する部署の長。
➁…①の要件を満たさない者であっても、職務の内容や責任の程度が課長級に相当する者(一番下の職階ではないこと)。
審査の段階では、①の条件を満たす者であれば容易に管理職であると認められますが、➁の条件で管理職であることを証明するためには、例えば役職者に役職手当を支給する企業であれば賃金規程の該当する箇所を添付するなど、追加の証明書類の提出が必要になることもあります。
管理職の定義は男女関係なく、共通のルールを採用してカウントしなければなりません(女性は①と➁、男性は①だけでカウントするなどはNG)。
申請書類のポイント
えるぼし認定申請に必要な書類は、厚生労働省の公式サイトで示されている一覧の他に、認定基準をクリアしていることを示す数値の根拠となる書類も必要です。
この数値の根拠となる書類には決まった様式があるわけではないので、いかに実績を証明するのかが重要となってきます。
いかに証明するのか
認定基準のうち、「.正社員の女性比率」、「.男女の平均継続勤務年数の差異」、「.労働者の各月ごとの平均残業時間数」、(「.女性労働者のキャリアアップ」)の証明については、下記のような従業員リストを作成するとよいでしょう。
従業員リストは必要最小限の情報のみで構わないので、氏名は不要です。
「社員番号(個人を識別できるもの)」、「性別」、「入社年月日」、「勤続年数」(.女性労働者のキャリアップの対象者は年齢等を記載する場合も有り)を記載したリストと、直近の事業年度1年間の各月ごとの残業時間を記載したリストを作成します。
なお、有期雇用労働者に関しては残業時間のリストのみで十分です(年度の途中で正社員または無期雇用となった者を除く)。
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認定基準「.管理職に占める女性労働者の割合」の証明については、下記のような組織体系の表を作成するとよいでしょう。
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こちらも氏名は不要で、「社員番号(個人を識別できるもの)」「性別」、「役職がわかる記号など」が記載されており、部署ごとの構成員数や部署間の位置関係がわかりやすいものであれば十分です。
複数の役職を兼任している役職者がいる企業もありますが、その場合はどちらか一つの役職でカウントし、男女ともに同じルールを適用する必要があります。
認定基準「.女性労働者のキャリアアップ」は、直近の3事業年度内で、「ア.非正規社員から正社員になった」、「イ.キャリアアップして雇用管理区分が変更になった」、「ウ.退職後に再雇用された」、「エ.おおむね30歳以上で正社員として採用された」のどれかに該当する女性労働者が1人以上(常時雇用する労働者数が301人以上は2人以上)いることが要件であり、証明書類としては「対象者の社員番号等」、「雇用転換の年月日(ア、イ)」、「入社年月日(ウ、エ)」、「年齢(エ)」が記載されているものであれば十分です。
えるぼし認定申請は、申請内容の真実性が何より大切ですが、証明の仕方で認定の可否や審査のスピードが変わるので、申請時の書類作成は重要です。
当事務所では、一般事業主行動計画策定・変更届の作成、えるぼし認定申請の事前チェック、えるぼし認定申請のフルサポートなど、幅広く対応いたします。
