令和7年の4月と10月に順次、施行される改正育児・介護休業法。
今回の法改正では、主に以下の点で変更があります。
◇4月1日からの改正ポイント◇
・子の看護休暇の取得期間が子どもの小学校就学前から小学校3年生修了時期まで延長し、子どもの病気以外にも卒園式や入学式に参加するためにも使えるようになる。また、勤続6か月以上の取得要件が廃止。【義務】
・所定外労働の制限(残業免除)の利用期間が子どもの3歳未満から小学校就学前の時期まで延長。【義務】
・3歳未満の子どもを育てるための短時間勤務制度を利用できない労働者のための代替措置にテレワークが追加。《選択制》
・3歳未満の子を養育しながら勤務するための措置にテレワーク導入が追加。《努力義務》
・育児休業取得状況の公表の対象が従業員数1,001人以上から301人以上の規模の企業に拡大。【義務】
・介護休暇の勤続6か月以上の取得要件が廃止。【義務】
・介護離職防止のための雇用環境整備の実施。【義務】
・介護離職防止のための制度の個別周知、利用の意向確認。【義務】
・労働者が40歳に達する年度等での介護制度の情報提供。【義務】
・家族を介護しながら勤務するための措置に、テレワーク導入が追加。《努力義務》
◇10月1日からの改正ポイント◇
・3歳から小学校就学までの子どもを養育する労働者の柔軟な働き方を実現するために、①始業終業時刻の変更、➁テレワーク、③保育施設の設置運営等、④養育両立支援休暇の付与、⑤短時間勤務制度の5つの中から2つ以上を選択できるよう措置を講じる。さらに、制度の個別周知と利用の意向確認を行う。【義務】
・妊娠、出産時等および子どもが3歳になるまでの時期の両立支援制度利用の個別の意向聴取。【義務】
今回の法改正では変更点が多く、大半が義務規定となっているため、適切に措置を講じていなければ法違反となり、都道府県労働局の助言や指導の対象となってしまうこともあります。
また、育児休業を取得した労働者等を雇用する事業主のための”両立支援等助成金”の申請時に、法に沿った就業規則を制定していることが要件の一つとなっているため、就業規則の見直しも重要となってきます。
育児・介護休業法は令和4年にも大幅な改正があり、少子化対策の一環として近年、法改正の多い法律であるので、対応に追い付いていない事業所も多いように見受けられます。
「うちは育児制度を利用する世代の労働者がいない」という声も聞かれますが、介護制度は全ての労働者が利用する可能性があるものなので、これを機にしっかりと社内で対応しておくことで労働者の定着率アップにも繋がります。
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